hiroomi1603の日記

自分の経験を素直に書こうと努力しています

金とバイタリティ

前回、倒産した社長の話を書きました。

今回は、もっと身近だった私のおじさんの話です。

35年ほど前、現在はあまり都会では見かけなくなった、造花の葬儀用の花輪を売っていたおじさん。
昔、パチンコ屋に並んだ赤の祝いの葬儀版。
売っているとはいえ葬儀の期間が終われば回収に行くからレンタルと言えるかもしれない。

そこで葬儀も始めたわけだけど、バブルの時代に乗り、儲けまくって要らないことにも手を出して…
バブルの崩壊と共に、てのはよく耳にする話です。
それと同じなんだけど、おじさん、離婚して家族も居なくなって、田舎に引っ込んだ。

しかし、ただじゃ転ばないんだ。
郷の鹿児島に帰り付き、途方に暮れて宿を探し、近所の居酒屋へ。
そこで"あんた、元気ないけどどうした?" 引き寄せるように運と出会う。
酔っぱらってこれまでの経緯を話すと、そのひとは地主さんで、うちの使ってない物件を事務所にして再出発したらいいと、さらに2000万の金を貸してくれた。

ここがヤツの強運である。

それから数年後、式場を構えなければこなせない件数を受注する葬儀社になった。
この事業を二億円で売却する。

オレに言わせれば、これでアガリなんである。
どん底から復活。70歳になろうかという年で億の金を手にし、後はのんびり悠々としようと思うんである。それが普通ではないか?

しかし、その二億を元手に、市街地からさらに山間部の小さな町へと向かう。
土地を買い上げ、式場を建てる。向かいの元はスーパーマーケットだった建物を買い上げ、そこを葬儀で使う生花の倉庫兼、昔の冷蔵陳列ケースを使った花屋にした。
田舎には不具合なほど飾り立てられた霊柩車、送迎用の大型バス。
すべてが再び揃った。

元手の二億を使いきり、さらに一億の借金。

昨年、最期は病に倒れ逝った。
しかし、あの男のバイタリティはどこから湧いて、どこへ向かうつもりだったのか。
もっと学んどくべきだった。